緋龍と偽姫
私は呼吸を整えて…。
“昔”住んでいた一軒家に入る。
“あの人たち”が緋絽を誘拐したのなら、ここに居るはず。
だって…この家の持ち主は…私だから…。
深呼吸をして…ドアを開けた。
かび臭い匂いがする。
久しぶりの家。
辛い思い出しかない。
ドキドキしてきた…だけど…緋絽の為に…。
行かなくちゃ…。
私は靴のまま家の中に入り…。
居間に行く。
“あの人たち”が“折檻”するときは…必ず居間だったから。
気持ちわるい…。
怖い…。
私は震える手で襖を開けた。