緋龍と偽姫



私は呼吸を整えて…。




“昔”住んでいた一軒家に入る。



“あの人たち”が緋絽を誘拐したのなら、ここに居るはず。



だって…この家の持ち主は…私だから…。





深呼吸をして…ドアを開けた。



かび臭い匂いがする。



久しぶりの家。



辛い思い出しかない。



ドキドキしてきた…だけど…緋絽の為に…。





行かなくちゃ…。






私は靴のまま家の中に入り…。




居間に行く。




“あの人たち”が“折檻”するときは…必ず居間だったから。







気持ちわるい…。






怖い…。







私は震える手で襖を開けた。







< 31 / 53 >

この作品をシェア

pagetop