緋龍と偽姫
「あら?やっと来たの?」
母親だった人。
「随分遅かったじゃねぇか」
父親だった人。
「うわっ。相変わらずキモい目と髪」
兄だった人。
得たいの知れない感情が…私を取り巻く。
ふつふつと何かが沸き上がる。
「あんた、“蓮美”に取り入ったんだって?」
「マジかよ。これで金の心配はねぇな」
っ…。
「何だよその顔!弟が大事なんだろ?」
兄だった人が私の胸ぐらを掴み言う。
サワルナ。
私は…緋絽の為に耐えた。