緋龍と偽姫
それから、退院までは穏やかな日々だった。
「なぁ、麗!
俺たちで…チーム作んねぇ?」
ある日、緋絽が突然そんな事を言い出した。
俺、岳、輝、麗は驚くしか無かった。
緋那ちゃんはニコニコ笑っていた。
「姉貴を2度と傷付けたくねぇし、姉貴自身にも…強くなって貰いてぇし…。
それに、姉貴の希望なんだ…」
緋那ちゃんの…?
「どういう事だ…緋那?」
麗が緋那ちゃんに優しく問いかける。
「私ね…。何も出来ないのは…嫌なの…。
麗や緋絽が私を守ってくれるって言っても…限界があると思う。
なら、麗や緋絽の背中を守れるぐらいになりたいの…。
岳や塁や輝が麗の背中を守るように…」
あぁ。この子は俺たちをちゃんと見てくれてる…。
「俺は賛成」
「俺も~」
岳と輝が言う。
2人が俺に視線を送る。
ったく…。
「俺も賛成だ」
麗は呆れたような顔をしながらも…何処か嬉しそうだった。