緋龍と偽姫
side:麗
緋那に何があった…。
あの目は…初めて出会った時の目だ。
絶望だ。
クソッ…。
「和馬…“赤蝶”の面子を全員呼べ」
和馬はすぐに行動に移す。
「お呼びですか?麗さん」
“赤蝶”の総長“吉瀬 葉瑠”(キセハル)
緋那を1番慕ってる。
「緋那の様子が…おかしい…何があった?」
“赤蝶”の面子は葉瑠をはじめ…ざわつき出した。
「麗さん。
緋那さんがコンプレックス持ってるのご存知ですか?」
「コンプレックス…?」
「はい。緋那さんは…。
自分の容姿も…足の傷も…見えない左目も…みんなみんなコンプレックスなんです」
…。俺は…緋那の何を見ていた…。
「それに!緋那さんだって嫉妬するんです!
好きな男を取られるんじゃないか…。
失うんじゃないかって…怖がるんです!」
葉瑠以外の面子が言う。
「“新見百合”の容姿を…五体満足の体を…見たら…。
自分なんか要らないんじゃないかって…。
嫌でも思います!」
「緋那さんは…けして強くありません!
麗さんに嫌われたくなくて…必死に強がってるんです!」
面子の言葉が次々に俺に刺さる。
俺は…一生涯緋那だけだ。
だけど…。
緋那には肝心な事を言ってない…。
緋那を救えるのは俺だけだ。
「色々わりぃな。
“赤蝶”はこれから…緋那の親衛隊として…頼む」
俺はそう告げて…総長室に向かった。