緋龍と偽姫
部屋のドアを開けると、いつもの面子が居た。
「麗、姉貴は?」
「あ?今、寝た」
「あのなぁ!」
うるせえ奴だな。いい加減姉貴離れしろ。
こいつは、“蓮美 緋絽”(ハナスミヒロ)
俺の女の双子の弟だ。
姉バカだ。
「まぁまぁ。麗も緋絽も落ち着いて」
「そーそ。麗はやっと手に入った愛しの“婚約者様”が可愛くて仕方ないんだよ」
“沢井 輝”(サワイテル)
と
“新見 岳”(ニイミガク)
コイツらは俺らのスットパー。
「で、さっきから…。
そこで、バカ笑いしてる奴…。
なんか話があんだろが?」
俺が言うと、“一條 塁”(イチジョウルイ)
が笑うのを辞めて言う。
「…岳の妹ちゃんが、岳を使って…俺らに取り入るつもりらしい」
チッ。また、めんどくせえ事を。
「…わりぃ。皆に迷惑掛けるよな…」
岳が俯いたまま言うと。
「岳は…悪くないよ…」
チッ。
俺は女の居る部屋の扉まで行き、抱き抱える。
「緋那」
「ごめんね。口を出して」
“蓮美 緋那”(ハスミヒナ)
俺の唯一無二。
俺の親が決めた婚約者でもある。
で、緋絽の姉。
俺は緋那の綺麗な白い髪に触れる。
顔をあげると、緋那の綺麗な緋色の瞳が俺を見つめる。
やべぇ。キスしてぇ。
「姉貴!大丈夫か?麗に酷い事されてねぇか?」
シスコンうぜぇ。
「話を進めるよ」
塁に言われて、俺は緋那を抱えたままソファーに座る。