氷がとけるように。
「木村、寒くないか?温かい飲み物でも買って来ようか?」


着込んではいるけど
日差しがなく少しだけヒンヤリした。


「私買って来ようか?」


「俺、行って来る。何がいい?」


「ココア」






「熱いから気を付けろよ」


「ありがとう」


カチャッとコーヒーを開け工藤が1口飲んだ。


「木村ー」


「うん?何」


横を向いて返事する。


「俺と卒業前にした約束って覚えてる?」


約束?
何だろう?


「約束って何したの?」


「ドライブ行こうって」


全然、覚えてない。


「…ごめん。覚えてない」


「だと思ったけど確認したかっただけだから。…ただそれだけ」


前を向いたままの工藤。
ゆっくりとコーヒーを飲んでいた。


覚えていた工藤。
覚えてもいなかった私。


少しの罪悪感があった。







< 101 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop