氷がとけるように。
山下君が私達の近くまで来てくれた。
金網の前まで降りて行く。


「応援に来てくれたんだ。ありがとう」


高揚感に満ちた山下君の顔を見て嬉しくなる。


「山下、最後のヒットは狙ってたのか?」


「たまたまだよ。三振でもいいかな?と思って振ったら当たった」


「たまたまじゃねーよ。山下の努力の賜物だよ。なぁー、木村」


「そうだよ。山下君、格好良かった。ハラハラドキドキしっぱなし」


久しぶりの感動の感情がわき上がってた。
ヒーローの山下君が眩しく見えた。


「木村さんの声援が聞こえたからかな。ヒット打てたの」


冗談混じりに言う山下君に


「大声出してたの俺だからな」


またもやムキになって言っていた工藤。


「私だって後半は声出してたし」


工藤に反論する私。
聞いていた山下君がアハハと笑った。










< 104 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop