氷がとけるように。
カクンとして目が覚めた。
あのままウトウトしてしまったようだ。


うん?


肩にさっき工藤に掛けたブランケットが掛けてあった。


「ごめん、いつの間にかウトウトしちゃってたね」


隣を見たら工藤は起きていた。


「ああ」


ゴロンとしたままの工藤。
ずっとこちらを見ているのに気づく。


「どうしたの?」


「木村がぼやけて見える」


「…あー、ごめん。眼鏡だよね。勝手に取っちゃった」


タオルの上にのせてあった眼鏡を渡す。


「木村」


「うん」


ブランケットを畳みながら返事をした。


なにも言わない工藤を見る。


「何?」


「ああ。…やっぱ、いい。…そろそろ行くか」


「…うん」


何言おうとしたんだろう。


背伸びしながら起き上がった工藤を見ていた。






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