氷がとけるように。
「ごめんね。長くなっちゃったね」


「ううん、いつでも聞くよ」


隣に寝てる赤ちゃんをお母さんの優しい目で見ていた由紀さん。


たぶん由紀さんは強い人なんだと思う。
忘れられない人がいる人を愛するって相当の覚悟がいるはず。


「私、決めたんだ。健史さんの子供たっくさん産んで肝っ玉母さんになるって。
だから七海さんも早く結婚してママ友になろうよ」


「なんでそうなっちゃうかな~」


ちょっぴり暗くなった雰囲気を無くそうとオチャメに笑う由紀さんに私も微笑んで返す。


いつもの思った事をすぐ言う明るい由紀さんに戻り出産がいかに大変だったか私に力説した。





『お母さん』


私をそう呼んでくれる日は来るのだろうか。
遠い未来の事のように思えて全然想像できなかった。






< 119 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop