氷がとけるように。
コーヒーを飲みながらいろいろ話をした。


健史さんと仁美さんの事。


大学からの付き合いで工藤も何度か一緒に御飯食べに行ったりしたそうだ。
亡くなったのは工藤が高校2年の時だった。
健史さんが人目も気にせず泣いていたのが今でも忘れられないと。


由紀さんが付き合う前に健史さんにお弁当を毎日作って来てた事。
工藤に泣いて相談したり時には逆ギレして怒ったり。
結婚が決まった時は泣いて、報告してくれた事。


由紀さんの話は笑いながらおもしろ可笑しく話していた。


無愛想だけど心配してくれる工藤が近くにいる事を羨ましいなと思った。


コーヒーを飲み終え、帰る事を伝えた。


車まで2人して歩いてく。


「木村、ありがとな。いろいろ」


「私、何もしてないよ」


「由紀の話聞いてくれて、健兄の事嬉しく思ってくれて、おでんとおにぎりも。そしてオホメの言葉頂いていろいろありがとう」


「工藤君に素直に感謝されると恥ずかしいな」


「俺を臍曲がりみたいに言うなよなー」


さっきの私の言葉を真似して言う工藤に可笑しくなった。


「気を付けて帰れよ。嫁入り前なんだから」


一言多い、工藤の言葉を聞きながら車に乗り込み工場を後にした。





< 125 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop