氷がとけるように。
「七海、肉じゃが作ってあるわよ」


「お母さんは?」


「食べたわよ」


肉じゃがを温めてご飯を1人分準備する。


山下君と別れ、車で家に帰る途中に山下君の言葉を思い出してた。


『工藤見てて、バレバレ』


山下君といい、由紀さんといい、工藤が私に気があるように言うけど。
そんな素振り私には全然しないのに…。


工藤の事考えてる私がいる。
少しドキドキしてる。


なんでだろう。
…もしかして、意識してる?


「七海」


ふいにお母さんから呼ばれた。


「うん」


肉じゃがを食べながらお母さんに返事をする。


「あんた、結婚したいって思う人出来たらいつでも行っていいんだからね。お母さんの事は心配いらないから。友達もいるし、晴美伯母さんだって近くにいるんだからね」


「…うん、わかった。結婚したいと思ったら明日にでも行くから心配しないで」


「そしたら孫たくさん産んでね。お母さん、面倒見てあげる」


最近、出掛ける事が多くなった私に何か思ってたのかな。


私が居なくなると寂しいくせに。
シンミリしたくなくて冗談混じりに返事した。
ソファーに寝転んでいるお母さんの顔は見えなかったけど。







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