氷がとけるように。
不可解な山下君の私ビイキを納得した。


「…はい」


工藤に携帯を返した。
バッグから出したハンカチで涙を拭く。


「で、俺は山下に酒おごってもらえばいいのか?」


メールに書いてあった事を私に聞いてきた。


「…おごってもらわなくても…いい」


いつもの工藤の口調に私もいつもの口調で返す。


「抱きしめたらいけないのか?」


「ちょっと、待って」


「どうして?」


「涙出ちゃったし……鼻水も」


ハンカチで涙と鼻水を拭く。


「お前は馬鹿か。それで離してって言ったのか?」


「馬鹿って言わないでよ。嫌でしょ、鼻水付いたら」


呆れた感じで言う工藤に少し強い口調で言った。人が気を使ったのに…。馬鹿って。


「別にいいよ。…だったらこれでいいだろ」


私の後ろに行き抱きしめた。
優しい言い方をして…そっと私を包む。











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