氷がとけるように。
「あー、このままお持ち帰りして襲っちゃいたい」


「馬っ鹿じゃないの。そんな事言って恥ずかしくないの?」


タクシーを待ちながら工藤が言ってきた。
唇にはキスの余韻がまだ残っていた。
だけどいつもの口調で返す。
なんか照れくさかったから。


「健全な成人男性の純粋な欲求を馬鹿にしたな。好きな人に触れたいと思うのはいけない事なのか?」


冗談で言ってるのか、真剣に言ってるのか
力説する工藤。


「タクシー、来ないね。
工藤君と反対方向だから私1人で帰るね」


通りを見ながらタクシーを待つ。


「無視したな。今度の休み覚えてろよ。
遠慮なく襲っちゃうからな」


無視、無視。




ただの同級生だった工藤が恋人になった。
工藤に男性を見た時から私の心は持っていかれてたのかもしれない。


隣に居る工藤を見る。
私を見て微笑んだ。




好きだと



心が



ハッキリと認めた。

















 


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