氷がとけるように。
11
「七海、お茶飲まない?」


開けてあったドアをノックしてお母さんが顔を出した。


「うん、飲む」


結婚前に部屋の片付けと荷物を少しずつ
マンションに持って行こうと整理していた。


「マドレーヌ、食べる?」


「食べる。買ってきたの?」


「斉藤さんからのおすそ分け」


お母さんとの会話によく出てくる斉藤さんは職場の友達らしい。5年前に旦那さんを亡くし一人暮しだと聞いた。私に今の職場の話を持ってきたのも斉藤さんだった。


「今日は出掛けるの?」


「マンションに荷物置いて工場に行ってくる」


「そう」






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