氷がとけるように。
ゴホンと、わざとらしく由紀さんが咳ばらいをした。


「えー、皆さんにご報告があります。健史さんには昨日言ったけど」


ピースサインをし、私達を見た。


「赤ちゃんが出来ました。2ヶ月」


「おめでた?由紀さんおめでとう」

「2人目か。健兄、仕事早くねーか」


ニコニコと笑ってる健史さん、嬉しそう。


「七海さんも早くママ友になろうよ」


またまた、私に来ちゃう?
困ったな。


「俺と七海の子供か。いいな。
七海、俺達も頑張ろうぜっ」


頑張ろうなんて人前で言わないでよ。
恥ずかしい。
顔が熱い。


私の気も知らないで私の肩に手をやり
なっ、なっと聞いてくる工藤。


「……ばかっ……」


うつむいて小さく呟いた。


「きゃ~、ばかっ、だって。
可愛い過ぎる~七海さん」




カラン。




その時。











氷のとける音がした。



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