氷がとけるように。
「木村って一人っ子か?」


「うん。なんで?」


「お母さんが1人だから帰って来たのかなって思って」


「まあね。お母さんは寂しいとか言わないんだけど伯母さんとかがね、帰って来たらって、それで考えるようになって。…工藤君は兄弟いたっけ?」


「俺も一人。けど健兄いたし、叔父さんだけど兄貴みたいな感じかな」


「叔父さんって言っても若いよね」


「俺と10歳しか違わないから40歳」


「へぇー。由紀さんは?」


代車を返しに行った時に工藤が奥さんを由紀って呼んでた。


「由紀は2歳下だから28か。あー、もう10年経つか工場来て。早えーな」


10年。


…長いよ。


その間に愛する人が出来て家族を作っている、目の前に居る工藤に距離を感じた。


過ぎてしまえばアッと言う間だったって思うけど10年はやっぱり長い。いろんな事が変わっていろんな感情を覚えた。


同級生って不思議だ。


懐かしい思い出で近くに感じたり
今の置かれた現状の違いに遠くに感じたり。


ハンバーグを美味しそうに食べてる工藤を複雑な感情で見ていた。




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