氷がとけるように。
失礼しますとドアの前で一礼する山下君を見送ろうと一緒にドアを出た。


「疲れたんじゃない?
社長、お節介と言うか何と言うか悪気がないから困っちゃうよね」


話好きの社長に捕まった山下君はお茶一杯で20分も付き合っていた。


「ううん、喋りやすいし話してて楽しいよ」


取り引き先の社長だから付き合ってるって感じじゃなくて素直にそう思ってるんだなぁと解る山下君の言い方。


優しさが出てる邪気がない言い方。


「フフッ、山下君らしいね。高校の時、女子に人気あったのわかる気がする」


爽やか系の顔に優しい言い方。
女子に人気がない訳がない。
友達もいいよねと言ってた記憶を思い出した。


「そんな事ないよ」


山下君がちょっと照れた感じで言った。


「懲りずに社長の話し相手、お願いします」


軽くお辞儀をする私。


「…あのさー、木村さん。
社長さんが言ったからじゃないけど時々でいいからご飯食べに行かない?…1人で外食するのも味気ないし。…よかったらでいいんだけど」


遠慮がちに私に聞いてきた。


「…いいよ。私で良かったらいつでも」


断る理由ないし、山下君と色々、話したいなと思った。


バイクに乗り次の訪問先に行った山下君を見送った。




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