氷がとけるように。
「こんにちは」


「おー、どうした?」


ドアの近くに立っていた工藤が私を招き入れる。クーラーの効いた事務所は心地がいい。


テーブルにカップラーメンの食べかけが見えた。


「この前のお礼に。これつまらない物ですが」


物を渡す時の決まり文句を言って饅頭入りの菓子折りを渡す。


「別にいいのに。気使わせたな」


「お母さんがうるさいの、こう言うお礼はするもんだって。…もしかして昼ご飯?」


昼1時。


テーブルにあるカップラーメンを指差した。


「あー、そう」


工藤がテーブルを見て言った。


「由紀さんは?」


「昨日から実家に帰ってる。仕事が立て込んでて、こんなもん」


連絡して来れば良かったかな。
お昼時に…ラーメン伸びちゃう。


「大変だね。忙しいなら私これで帰るね」


御菓子を渡せたし用事が終わったから帰ろうと手をあげた。


「わざわざ来たんだし、もう少しいろよ。お茶持ってくるから座ってて」


そう言い残し奥の部屋に入って行った。
















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