氷がとけるように。
「山下君、野球部だったよね?」


料理を堪能しながら会話をしていく。


「野球部でキャッチャーしてた」


「坊主頭ってイメージだったから最初わからなかった、再会した時」


「小学生からずっと坊主だったから引退した後伸ばしたけど全然シックリこなかった。木村さん部活は?」


「してない、帰宅部。
30分掛けて自転車通学してたからこれ以上、体力使えないなと思って」


笑って答えた。


運動は苦手だった。文化系の部活にも入ろうとは思わなかった。休みの日に部活で学校に行くのが億劫だったから。


「俺、1時間」


人差し指を立てておどけて山下君が言った。
私の30分に対抗しての山下君の言い方が可笑しかった。


「何?山下君。自慢した?絶対自慢したよね」


「してない。してない」


「絶対したし」


2人して笑い合い楽しかった。
高校の時は話す事もほとんどなかった。
山下君の笑い声、笑う顔、見るだけで新鮮だった。





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