氷がとけるように。
帰り際、山下君が私に話掛けてきた。


「木村さん、ここ勤めて長いの?」


「半年前から働いてるの」


「じゃ、お互い新入りだね」


笑顔で言う山下君。
爽やかな笑顔はあの頃のままだ。


前任の富田さんが社長との挨拶が終わったらしく入り口のドアまで来た。


「木村さん、いつも美味しいお茶ありがとうね。また」


私にまで律儀に挨拶してくれた富田さん。


「富田さん、お元気で。また顔見せに来て下さいね」


転勤でこの街を離れるらしい。
今日は山下君との引き継ぎと最後の挨拶に来た。


社長に最後に声を掛け
ドアの前で一礼して2人は帰って行った。









< 6 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop