氷がとけるように。
木曜日。
山下君との食事の日。


「七海ちゃん、オシャレしてデート?」


「違いますから、社長」


ちょっと気合い入れ過ぎたかな?
たまにオシャレするとやっぱりわかるみたいだ。


見慣れない私のスカート姿に何か感づいたのかな。たまにはスカートをはいて女の子したい時もある。


「七海ちゃん、お昼2時間くらい出掛けて来るから」


「わかりました」


いつもは着ないスーツを着ていた社長。
自分だってオシャレしてるじゃん。
言いたかったけど私の話に変わるのが嫌だったから何も言わなかった。


奥さんのお供かな?
ナンダカンダと愚痴を言うくせに仲がいい。


社長が出ていき時間を確認する。
11時30分。


12時になったらコンビニ行こうかな。
パソコンに向かい書類作成を続行した。


静かな事務所にカチャカチャとパソコンを打ち込む音が響いた。





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