氷がとけるように。
「4時過ぎか。夕御飯には早いしお茶でもする?」


「そうだね。甘い物食べたい」


出口に向かい歩いていた私に声を掛けた。


広い通路には赤ちゃんを連れた家族連れ。おじいちゃんとおばあちゃんも一緒に歩いている。
あっちには旦那さんが荷物を持ち笑顔で話してる妊婦さん。


みんな幸せそうだ。


私には当分、訪れそうにない幸せ。


視線が前に無かった私に


「木村ー」


私を名字を呼ぶ声がし視線を合わせる。


前から工藤が歩いて来た。
由紀さんと一緒に。


私に気付かせるように片手を上げていた。


「1人か?」


隣に居た由紀さんが笑顔で会釈した。


私の斜め前を歩いていた山下君に気付いてないようだ。


立ち止まってこっちを見ていた山下君の隣に行く。
























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