氷がとけるように。
見覚えのある黒い車を見付け駆け寄る。助手席の窓から運転席の工藤を確認して乗り込んだ。


「おはよう。待った?」


「おはよ。2・3分」


「何時から始まるの?」


「9時半から。
木村、弁当持ってきてくれた?」


「ほらっ、ここに。
ったく、昨日メールくるんだもん。材料は冷蔵庫にあったのだけだからね。味に文句は言わせないからね」


お弁当の入った袋をわざと上げて言った。
お弁当作ってきてと昨日の夜にメールがきていた。冷蔵庫の中を見て作れそうなおかずを考えた。


「大丈夫、俺腹だけは丈夫だから」


「何自慢げに言ってんだか」


アハハと笑い
楽しみにしてると私を見て言った。


私がシートベルトして工藤が右にウインカーを出して球場まで出発した。
























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