氷がとけるように。
9時50分に球場に着く。


応援席は家族や職場の人で賑やかだった。両チームの横断幕も見える。すごい熱気を感じた。


賑やかな場所から少し離れた所で応援する事にした。


「1対0か。負けてるね」


スコアボードには1と0の数字。
信金チームは後攻みたいだ。


「まだ2回の表だろ。これから、これから」


「勝つかな?」


「『勝つと信じて応援する』だろっ?この場合」


弱気な言い方の私に強気で言う工藤。


「ですね。『勝つと信じて応援します』」


工藤のテンションに合わせて言った。


荷物を横に置き椅子に座った。


「木村、野球のルールわかるか?」


「お父さんが野球好きでテレビで見てたから、だいたいわかるよ」


「そこでわからないって言えば教えがいあるのにな。手取り足取り」


「可愛いげないって言いたいんでしょう。手取り足取りって言うのは何なのよ。理解不能だわ」








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