依存症人生1

妊娠と中絶

この夏休み、最後の事件…。

生理が来ない。

買っておいた妊娠検査薬を試した。

陽性…。

頭の中が、真っ白に…
目の前が、真っ暗になった。

大輔は、産んでくれと言った。

が、私は既に悟っていたんだ。

この人は、いつも口だけ。

ましてや、高校1年生の男…

うまくいくわけない。
無理に決まってる。

10代で出来ちゃった婚して、
離婚した自分の両親を見てるから

私には自信がなかった…。

子供は好きじゃなかったし、
また大輔がフラフラ浮気して
居なくなったら一人でなんて
育てられない。
大学も棒にふれない。

おろさなきゃ…

そう思った。

同じおろすなら、一刻も早く…。

私は噂で聞いていた産婦人科へ行った。

噂通り、保険証も男の同意書も
いらず、お金さえ用意して行けば

その日に中絶手術をしてくれた。

怖かった。
彼はついてこなかったし一人だった。

麻酔が完全にきくまえに手術が
始まって…私は

「痛い、痛い!」叫んだ。

やがて、麻酔がきいて、
気が付いたらベッドの上だった。

お金も全部、自分で用意した。

会計を済ませて
病院を出る前、トイレによった。

個室に入ると、次から次へと
涙が溢れて…
声を殺しながら大泣きした。

赤ちゃん、ごめんなさい。

大輔の家に帰ると、
大輔は友達数人と楽しそうに
テレビゲームをしていた。

腹がたった。

うつ向いて泣きそうな私を見つけて

『どしたん?できとったん?』って…

「私、おろしてくる、って
出ていったよね?
できとったん?じゃないよ、
おろしてきたんだよ!」

大輔は私を抱き締めた。
その手を振りほどきたいくらい
彼のことが信じられなかった。

痛みは女にしか解らない。
さっきまでケラケラ笑ってた
この男には、絶対解らない。

せめて、お金は男が出してって
言ったら、『うん、返すよ。』って
言ったのに…お互いの親には
内緒って言ったのに…

大輔の父親から
『マーヤさん(私)、大輔まだ
16才なんよ。そんなお金払えん。
何なら、マーヤさんのお母さんに
相談に行こうか?○○(店名)で
スナックのママしよるよね?』

って言われて悔しくて涙が出た。

脅しだ。

歳を言い訳にするなら、
16才だからって言うなら
セッ/クスすんな!!

こんな考えの親と、
こんな頼りない彼氏だから、
産んだら、大変なことになってた。

同じ想いを2度としたくなくて…
当時の薬は副作用も心配だったけど
私はピルをもらいに病院に行ったんだ。

大輔は若いから、中/出しできる
くらいにしか思ってなかったかも
しれないけど…私は自分の身を守る
方法が、それ以外に見つからなかった。

別れるって選択肢もあったのに…。

それでも、その時の私には
その選択肢は実行できなかったんだ。
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