依存症人生1

ネックレスを探せ

ひろ君の手術後、あまり早く
駆け付けて迷惑になってもいけないと
お見舞いを遠慮してたら…

Tから思いもよらない情報が入った。

『ひろ君とっくに退院してるって。』

は?

じゃあ、何で私に連絡ないの?

私はそこで、衝撃的な本音を知った。

『退院したこと言わんといてって。
ってか、ひろ君、マーヤさん(私)に
ビビってる(怖がってる)』

え?
今まで、ずっと?

『怖くて逆らえなかったって。』

もう、マジ、は?

こんなに恋する乙女モードだったのに?

強引に押し倒してHしたのに
それは、ないでしょ。

その時、私の頭によぎった。

ネックレス返せ。

手術のお守りなんて渡した高価な…

3才の時に離婚して離れて暮らす
父が買ってくれた、かけがえのない…

私の宝物のネックレス…。

退院したこと内緒=持ち逃げ、
なんて短絡的な思考の私は

それを取り返すことで頭が
いっぱいだった。

裏切られた。悔しかった。

自分はもちろん友達にも
協力してもらって、ひたすら
彼の地元を探した。

大学以外の時間は全て
それに費やした。

探してくれる仲間の数は
増えていった。

原付き、4ケツなんかして意外に
楽しかったけど、一晩中うろつくのは
意外にキツかった。

朝、ホスト業の帰り、ホストを
二人つれて、ひろ君探しに
参加してくれた男友達の親友Y。

眠らず、見つからず夜があけて
イライラ気味の私に、初対面の
ホストその1、鉄平が事情を聞いた。

簡単に話すと、彼は鼻で笑いながら

『やり捨て?だっせ。』

その瞬間、私は彼にビンタした。

すると、彼も私にビンタし返した。

更に、私がビンタすると
彼は、もう殴り返さずに…

『初対面でビンタされたの初めて…』

って、笑った。

「私だって、初めてよ。」

そこからは、仲良く話し始めた。

後の恋愛対象になるとは、
この時は知らない(笑)

この日も、ひろ君は、見つからず

つまり、ネックレスも見つからず

私は底無しの不安に包まれながらも
死んでも取り返す!!ぐらいの
気迫に満ちていた。
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