さぁ、好きと口にして。【BL】
___________事の発端は、数十分前。
「うおおおおぉ、先輩かっけえぇ…」
俺…サッカー部のレギュラーを努める、早瀬慧(はやせ とし)は、一枚の写真を眺め、ベッドの上で悶えていた。
窓の外では、大粒の雨が降り注いでいる。
写真とは、この前の大会で個人的に撮ったもの。
俺は大会直前にドジって、体育の授業を受けている時に、
ズザザザザザ___________という虚しい音を立て、コンクリートにずっこけてしまったのだ。
俺のサッカーの腕前はそこそこで、当時1年の中で唯一のレギュラーだった。
ちなみにポジションは、MFのWB(ウイングバック)。
俺が転けて膝小僧をグロく負傷し、倒れる時、体を支える為に思わず出た、右手を捻挫した俺は、
当然大会に出れなくなったわけで。
顧問にはんば呆れられ、はんば泣きそうな表情で見られたのは、結構効いたな…。
サッカー部では期待の星。
だった俺は、ドジって怪我して出場出来なくなった事で、蔑んだ目で部員から見られる事に……。
でも、今では心から怪我して良かった___________と喜んでいる。
先輩と、出逢えたから。