~天使ロード~
時間を気にしつつも、早一時間以上が経った時…

池治先生がお盆に卵がゆと水とレンゲを乗せて戻ってきた。


「池治先生遅い!」


「どうもすいません
お腹すかれましたか?」


「どう見ても違うでしょ!
それより早く私の指輪返して!」


「その指輪でしたら佐藤が持って帰りましたよ!」


「工が?何のために?」


「それは分かりません
忘れ物をしたからって佐藤が戻ってきて、上手く誤魔化しを効かせてでも指輪をとってきて欲しい!と私は頼まれたのです」


「そうなんですか…
工やっぱり私のこと嫌いになったんですね
指輪を取り返すなんて、それしか考えられない」


「まぁ、気をとり直して
私が作ったこの卵がゆを食べてくれませんか?」


「そうだね!
丁度お腹すいていたから、食べよ!」


「私が食べさせてあげます」


「え!?」


「いつも熱を出したとき、お父さんが食事を食べさせてくれていたんでしょ?
りんごをすりおろして持っていったり…

圭司さんは本当に素敵なお父さんでした
今もそれは変わらないと思います!」


「池治先生…
でも私、一人で食べられますから」


「では一口だけ
味の感想を聞きたいので」


「はい!」


池治先生がレンゲに卵がゆを掬って、ふうふうして一口食べさせてくれた。


美味しい!



この味…お父さんが小さい頃に作ってくれた卵がゆの味に似ている。





お父さん・・・
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