~天使ロード~
私達三人は急いでリムジンに乗り込んだ。

時間がなくなるってお父さん…

後どのくらいしか時間が残っていないの?


リムジンに乗り込み、席に座るとゆっくりと動き出す車。


「いよいよだな」


「うん…」


「お父さんが作ったサンドイッチ食べるか?」


「うん!食べたい」 


お父さんがテーブルの上に置いてあるバスケットを開けると、そこには種類豊富のサンドイッチが一口サイズぎっしり埋まっていた。


「美味しそうだね!」


「お腹がいっぱい満足するまで食べなさい!」


私はサンドイッチを手に取り食べるなり、お父さんと小さい頃の話をした。


「お父さん、覚えてる?
私が幼稚園の頃…遠足に行ったこと」


「あぁ、覚えてるよ!
おにぎりならぬ、サンドイッチが転がって行ったんだよな
そしたら美桜、何て言ったと思う?」


「何だっけ?忘れちゃった」


「パパが作ったサンドイッチ、お花さんが食べてる!って」


「あぁ、そういえばそうだったね!
花が風で揺れているから、食べている風に見えたんじゃないかな?」


「そうだよな
あの時、お父さん笑ってしまった」


「それは私が可愛いからでしょ?」


「まぁそうだけど…
その美桜がこんなに立派に成長して、お父さん感激した

これも全てお母さんのおかげだな

ありがとうって伝えておいてくれ!」


「分かったよ!お父さんの気持ちちゃんと伝えるね!」


「美桜、ありがとう
美桜はお父さんにとって、自慢できる立派な娘だよ」


「でも、何で私なの?
お母さんやお姉ちゃんだって、お父さんに会いたいはずだよ?」



「お姉ちゃんには会っただろ!
お父さんが誰か分からなかったみたいだけどな…」


「違うよ!本来のお父さんの姿で会う話」


「それは無理だ…
決められた人にしか会うことが出来ないから
天使ロードにだってちゃんと決まりがある!」


「それもそうだよね
ごめんなさい…

お母さんもお姉ちゃんも元気にしてるよ!
だからお父さんは心配しないで安心して!」


「まさかそんなことを娘に言われるとはな」


「お父さん…そんなこと言わないでよ!」


するとお父さんは私を優しく抱き締めてくれた。
お父さんのぬくもりが存分に伝わってくる。



温かい。



これがお父さんのぬくもり。






私は本当に愛されている。





今もずっと、この愛は一生私の心に点り続ける。
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