~天使ロード~
「じゃあ、頭を冷やす所から始めないとあなたには分からないみたいね」


そう青柳さんが言うと、近くに置いてある水の入ったバケツを手に取り、それを私ではなく莉央の頭にかけた。

ズブッ…莉央の髪の毛から滴る水は、床を伝って私の方まで流れ込んでくる。


莉央は寒そうに、身振り手振りをブルブルと震わせた。


莉央の目には明らかに涙があった。


泣いている。莉央は今泣いている。



私のせいだ…
決断が出来ない私のせいで莉央にまで迷惑をかけてる。


莉央は何もしていないのに…


私は青柳さんを怖い目で睨み付けた。


青柳さんさえいなければ…
一瞬そう思う自分が怖い。


だめ、絶対にそんなこと考えちゃだめ…


何か方法があるはず!
と首を捻らせ考えたが、何も頭に浮かばない。


「どうするの?もう決断したのかしら?
最後の手段としては、あなたが転校する手もあるわ
でもそうすると、笹倉さんや佐藤くんに会えなくなるのは嫌でしょ?
だったらどちらかにした方がいいと思うわ」



青柳さんの言葉が少し天使に見えた。

確かに青柳さんの言う通りかもしれない。



そうだよね!私は、無理矢理笑顔を作って自分を納得させた。



これでいいんだ…


これで…




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