声を聞くたび、好きになる
その後、花崎さんを褒める流星の言葉を聞かないようにして、かたく目を閉じた。眠くなれ。眠くなれ。
うとうとしている間、流星は私を部屋のベッドまで運んでくれていた。
目が覚めると、流星はベッド脇にいて、難しい顔をしていた。
――…なんだろう。胸がズキッとする。
いつもなら「あんなとこで寝たら風邪引くぞー。世話が焼けるなー」とからかい気味に言ってくるのに、この時の流星は私を咎めるようなまなざしでこっちを見ていた。
なんだか怖くて黙っていると、流星は重々しく口を開く。
「人のことうらやましがるのは簡単だ、ミユ」
「え……」
「見るつもりなかったけど、日記に書いてること、ちょっと見えた。ごめん……」
全身からカアッと熱が出てくる。眠気は一気に吹き飛んだ。
「ミユも、ずっと家にこもってないで何かバイトとかしてみたら?外に出たら、世界も広がって気が楽になると思うし」
そっけない口調で言い、流星は部屋を出ていった。
流星が花崎華さんを誉めていた時以上にショックで、私は動けなかった。流星の気配がこの家から遠ざかるまで、ずっと……。