声を聞くたび、好きになる
『合鍵はポストの中に入れておくから。今までありがとう』
流星が最後に告げた言葉。その通り、翌朝ポストの中には合鍵入りの封筒が入っていた。
封筒には、私がよく見てたアニメのイラストが載っている。きっと、流星なりの気遣いとか思いやりの意味を込めてこの封筒にしたんだろうけど、今はただただ寂しかった。アニメイラストじゃなく、流星本人の声を聞きたかった。
金属の重みを感じながら封を切ると、中には合鍵が入っていた。三年間流星に預けていたもの……。
「あっけないね……」
合鍵を流星に渡した頃は、こんな風に返される日のことなんて想像していなかった。
消えちゃうんだ。何もかも。流星と過ごした思い出全部……。
結局私は、流星をひき止めることができなかった。
何を言っても無駄だったのかもしれないけど、もっと頑張って色々言えばよかった。カッコ悪くてもいい、好きな気持ちを信じてもらえるまで何度でも流星に告白し続けるべきだった。
後悔はいつも、後に立つものなんだね。
流星。大好きだったよ――。
私なんかを好きって言ってくれて嬉しかった。流星に好かれて夢みたいだった。本当にありがとう。
自室に戻ると両手で強く合鍵を握りしめ、私は泣いた。昼が過ぎ、夜が終わりそうになっても……。
もう、この声は彼に届かない。