あと、11分
シキも同じように慌てながら、
「ええ、っと……宇治拾遺物語とか……十訓抄と、か……、かな」
はたから見てたら、きっと凪はお前ら中学生日記かとでもツッコみが入りそうだった。
「わらしべ長者、とか……昔話もあるから、分かりやすいと思う」
「そっか、ありがと」
「お役にたてて、よかった」
ようやく落ち着きを取り戻してきた俺たちは、顔を見合わせて小さく笑った。くすぐったい。
「俺、あんまり古典とか得意じゃなくってさ。数学とか理数系で。原文とか古典の点数は散々なんだ。
テスト終わるたびに課題たんまり先生に出されたりとかさー」
「ふふ、そっか……この前残ってたもんね、スイ」