あと、11分
あと、8分
***
鐘の音が遠くのほうから聞こえた。
俺は一人、廊下を歩いていた。シキは授業はちゃんとでなきゃだめだよ、とサボろうとする俺を頑として譲らず、結局図書室から追い出されてしまった。
どうせ、もう午前の授業は終わったから文化祭の準備しかないのに。
───ずっと心の奥に、棘が刺さっている。
なんで、シキはあの時。
あの時、ああ言ったんだろう。
───『俺、あんまり古典とか得意じゃなくってさ。数学とか理数系で。原文とか古典の点数は散々なんだ。テスト終わるたびに課題たんまり先生に出されたりとかさー』
───『ふふ、そっか……この前残ってたもんね、スイ』