あと、11分
「……おは、よ……?」
「世はこんにちはの時間よ」
もうそんな時間。
視線を上げると、壁に掛けられた時計はもう12時過ぎを指していた。
周りはお弁当を広げたり、文化祭に使う黒く塗った段ボールに飾りつけをしている最中だった。
「よくもまあ、そこまで熟睡できるものね」
「お褒めに預かり、光栄の至りでございます」
「褒めてねえ。アンタ、昨日午後どこ行ってたのよ」
「……ええ、っと」
まずい。
幼馴染の視線がますます鋭くなっていく。
視線をずらしながら、俺は昨日のことを思い出す。
どうやら、サボって空き教室で寝ていたらしいということを。