あと、11分
しどろもどろで答えない俺をふんっと一蹴すると、
「今日はしっかり働いてもらうからね、スイ」
夕雨はそういって、すたすた行ってしまった。
「オイオイ、そんなに嫁さん怒らせないのがいいと思うぜ」
「……誰だ嫁って」
後ろから俺をからかう気満々の凪の声。
面倒に思いながらも、視線だけ後ろに向けてみると、案の定気持ち悪いくらいに口元をにやつかせた凪が立っている。
「さっそくだけど旦那さん」
「……死ねばいいのに」
「お仕事よ、夕雨さんからね。特別棟にでっかいシーツ取って来いって言われていますから、一緒に行きましょうか」
「はあ」
何でカマ言葉なんだよ。
でもここで断ったら、ますます面倒なことを押し付けられるかもしれないと思ったら、曖昧に頷くしかなかった。
「じゃ、黒板に書いてくか」