あと、11分

───『あそこの屋上、今は閉鎖されててさ』


封鎖された、屋上。



───『学校の七不思議の一つに、〝自殺した少女〟ってやつ』


自殺した少女。


どれもが、なぜか俺の心の奥で何かを突き動かす。

足が、止まらない。そして、その足音がぴたっと、止まった。いつの間にか、自分は顔を伏せていたらしい。


視界の端に、足が見えた。

俺の学年と同じ青色のスリッパ。


ゆっくり、ゆっくり視線を辿っていく───ぴたりと、動きが止まる。



流れるような黒髪。

白く浮き立つような肌。

伏せがちの瞳は俺に気づいたのか、すっと視線を上げた。




「……何」

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