あと、11分

「───本当にそんな事、言ってられる?


 9年間、姉さんはずっと一人でい続けることが本当に苦しくないと思う?

 俺が言えた事じゃないけど、さ。

 もしそんな事言い続けて、2年になって3年になって、卒業して。それでも、姉さんがこの学校にとどまり続けるようなことになったら、どうするんだよ」


「……」

正論だった。

ぐうの音も出ないほどに、香澄の言っていることは正しい。

俺の勝手なエゴで、シキをここにずっととどまらせることは彼女にとってどれほど辛いことになるか、俺にだって想像できない。


「姉さんは、幸せでいてほしい」


香澄が、じっと俺の瞳を見つめながら言った。






「そのために、姉さんを失う覚悟、ある?」






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