あと、11分




失う。

シキを、失う。

シキがいなくなる。ここから、いなくなる手助けをする、覚悟。

そんなことが、俺にできるだろうか。


「───あ、スイ!」


教室を出ると、いつから待っていたのか壁に寄りかかって座っていたシキが嬉しそうにばっと立ち上がって俺たちのほうへやってくる。


「もう話は、終わった?」

「ああ」

「そっか」

嬉しそうににこにこしながらシキが俺の隣を歩く。

シキはずっとご機嫌だった。そりゃそうだろう。弟と和解できて、よくやく一歩踏み出すことができたんだから。


「シキは、さ」

「ん?」

「……ううん、なんでも」


シキは、幽霊になって、幽霊でい続けて幸せ?

そんなの、分かりきってる。

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