あと、11分
「おー重役出勤ですなぁ、スイ殿」
「うす」
「体調は良くなったかね」
「……まあ、そこそこ」
1-5の前では、人が結構混雑していて売り上げは上々のようだ。
手作り感満載の血の付いたカマを手に持った、花子さんが俺になれなれしく声を掛けてきて、若干身構えたが、それが凪だと気づく。
「なんで花子さんがカマ持ってんだよ」
「いやー持ちたいお年頃でさ」
「ふうん。夕雨は?」
「委員長は実行委員の仕事とか見回りがあるから、クラスにはほとんど来てないけど」
確かに夕雨は大変そうだ。気の毒に。
それからカマを振り回しながら、ニヤニヤ凪が、
「あ、なんささっき委員長と香澄くんが歩いてるの見たよーやーびっくりしたけど」
「夕雨と香澄が?」
「え、ちょ、呼び捨て」
「あ、いや、ごめん」