あと、11分
そう言えば、俺、今日、香澄を見たか?
確かに凪に、香澄と夕雨があっているのを見たとは聞いたけれど、俺は、実際に今日、香澄に会ったか?
あ、れ。
あれ、あれ。
頭が混乱していく。外で騒ぎ立てている音が、ますます俺の心臓を暴れされる。夕雨は───何で、香澄に逢ったんだ。
もしかして。
夕雨は。
ぞっと、背筋に嫌なものが走った。
俺はさっきまで走ってきた道をくるりと方向転換させて、シキと別れた空き教室に向かう。
まさか、嘘だ、そんな。
そんなはずは、ない、違う、違う、違う。
階段を上る。何段も飛ばして駆け上がる。
空き教室は階段を上ってすぐ、そこ。そこにシキは、いるはず───