あと、11分
なんで、今───そんなこと。
口元を押さえた。なぜだか、体に力を入れていないと立っていられそうになかった。
「……なんで」
どうして?
どうして───どうして、こんなに、苦しい。
心臓が、暴れ出しそうだった。今にも頭を押さえて叫んでしまいたくなるほど。
俺は、その感情を全く今の自分関係なく暴れ出す感情に飲み込まそうで、俺は足早に歩き始める。だんだんと、その速度は増していく。
どうして、どうして。
そのまま、スピードを緩めることなく、雨の音が響く、錆びついたトタン屋根の付いた渡り廊下を歩いて、唇をかみしめた、その時───
「───ぁ、あ、う、っく……ぁうぅう」
声がした。