あと、11分
「……ぁ」
彼女は、小さく声を震わせて呟いた。
それから、いっぱいに溜めていた涙がぽろぽろ白い肌に滑り落ちていく。止めどなく、溢れてしまった水がこぼれるみたいに。ぽろぽろ、ぽろぽろ。
「ど、……て」
声が、震えていた。
苦しそうに顔を歪めながら、彼女は泣く。
「どう、して」
「───」
どうして。
彼女は、そういった。
「どう、して。なんで、何で……」
肩を震わせながら、彼女はすっと手を伸ばして───
「アンタこそ、ここで何してんの?雨降ってんのに」
───止まった。