あと、11分
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「あれ?スイどしたん、そんな慌てて」
「凪!」
非常階段を上ってすぐに繋がる、本館の三階の廊下で大きなパネルをもって歩いている凪にあった。
俺は慌てて走る足を止めて、
「さっきここに長い黒い髪の人、通り過ぎなかった……っ?」
「え……?いや、気づかなかった」
「分かった!」
お礼を言う余裕もなくなって、俺はそのまままた走り始めた。
「え、おいスイっペンキは?」
「悪いけど、今手が離せない!」
「ちょ、スイ!?また委員長に怒られっぞー!!」
慌てて呼び止める凪の声が聞こえたけれど、無視ししてそのまま走り始めた。
どこ、どこにいる?
階段を下りて、すぐの廊下を見渡す。
二階からは生徒の教室になっていて、どこもかしこも文化祭の準備をするやつで溢れ返っていて、人込みをかき分けて呼び止めるけれど、どこにも彼女が見当たらない。