あと、11分
もしかしたら、俺が思うに文化祭でクラスの奴らとうまくいっていないのかもしれない。
だから、シキはああやって羨ましそうにいいなと、呟いた。
なら、少しでもシキの力になりたいと思った。
少しでも文化祭を楽しんでほしいと思った。
いい思い出になってくれればいいって。
自分だってそんなに楽しみにしているわけじゃないけれど、シキのためならやってもいいかな、なんて思ってしまったのだ。
「ほら、書きなよ。俺とペンキ買いに行くって」
「……でも、」
わたしはクラスの人じゃない、からと遠慮しようとしたシキの手に無理やりチョークを握らせて、そのままその手を黒板にもっていかせる。
「ほら」
「……ぁ、う、……うん」