あと、11分
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昇降口から出ると、さっきまで降り続いていた雨は止んでいた。
上を見上げる、まだ厚い雲に覆われていて油断したらまた振ってきそうだった。
「雨、降るかな」
半歩後ろで歩いていたシキが、俺と同じように顔をあげて雲を見上げながら、そういった。
その足元が少しだけ早歩きになっていたことに気づいて、俺は少しだけ歩くすピートを緩める。
「傘持ってる?」
シキが小さく首を振る。
「じゃあ、雨降ってきたらどっかで雨宿りがてら遊ぶ?」
「……い、いいの?」
戸惑ったようにシキが首を傾ける。
どうやらシキは根っからの真面目体質の様だ。授業とかサボったことないんだろうな、こいつは。