大阪沿線物語

ある夏の日


いつも通り私鉄沿線達の均衡を保ったこの梅田の街も、人口密度の多さも手伝い過去最高気温を叩き出していた。

「暑いわぁ...マジで暑い...なんとかならんのけこの暑さ!」

「ふふ。暑そうですね。阪神さん。あ、そっか。阪神さん確か甲子園まで行くんでしたっけ?大変ですねぇ。そのまま甲子園専属にでもなれば暑さも多少マシになるのではないですか?」

「あ?喧嘩売ってんのか金持ちボンボンおしゃれ野郎!」

「おっと短気はいけない。」

私たちの日常は、私達なりの挨拶から始まる。売り言葉に買い言葉。

梅田に君臨する二つの私鉄。
彼、阪神と私、阪急は長くライバルとして対立しあう仲の良い私鉄である。


それにしても今日は暑い...阪神さんにはあぁ言ったが、私も暑さは変わらない。しかし元々川沿いを走るから多少マシにはるし今日は急行勤務で、停車駅が少ない分スピードがあがるから暑さはマシになるはずだ。と、心の中で思いながら少しずつスピードをあげる。




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