悪魔と私
2
~~SIDE 悪魔
最近毎日が充実している。
こんなことを思って幸福感を覚える日が来るなんて、俺は考えたこともなかった。
奇妙な女に、事故で呼び出されて1ヶ月。
俺の生活は激変していた。
魂を渡す気がないと女が我が儘を言うので、仕方なくはじめた共同生活だったが、
なかなかこれが心地良い。
女は、仕事が忙しく朝と晩しか顔を合わせないし、休日も俺を無視して本を読んだり散歩したりと好き勝手している。
でも、まるっきり無視ではないし、なかなか変人の気がある女との掛け合いは面白い。
女は話からして、他人を寄せ付けず、独りを好むことが推測できたから、俺がいることを当たり前のように思って心を許しつつある女に、優越感すら覚えていた。
「芥川君。これ3Aにおねがい。あと、今日、予約のおきゃくさま来るから、4番代キープはじめて」
「了解っす」
女が読んでいた本の作者からとった名前を呼ばれ、意識を引き戻された俺は、にこやかに店長に応じて、厨房から出された料理を手にとった。
昼寝して、可愛い女の子と遊ぶだけだった俺とは別人だな。
魔界での、そんなだらけた生活が、自分にピッタリだと思っていたが、案外働くのも悪くない。
悪魔らしからぬ思考に、自分で笑いながら、俺はバイトに集中したのだった。
最近毎日が充実している。
こんなことを思って幸福感を覚える日が来るなんて、俺は考えたこともなかった。
奇妙な女に、事故で呼び出されて1ヶ月。
俺の生活は激変していた。
魂を渡す気がないと女が我が儘を言うので、仕方なくはじめた共同生活だったが、
なかなかこれが心地良い。
女は、仕事が忙しく朝と晩しか顔を合わせないし、休日も俺を無視して本を読んだり散歩したりと好き勝手している。
でも、まるっきり無視ではないし、なかなか変人の気がある女との掛け合いは面白い。
女は話からして、他人を寄せ付けず、独りを好むことが推測できたから、俺がいることを当たり前のように思って心を許しつつある女に、優越感すら覚えていた。
「芥川君。これ3Aにおねがい。あと、今日、予約のおきゃくさま来るから、4番代キープはじめて」
「了解っす」
女が読んでいた本の作者からとった名前を呼ばれ、意識を引き戻された俺は、にこやかに店長に応じて、厨房から出された料理を手にとった。
昼寝して、可愛い女の子と遊ぶだけだった俺とは別人だな。
魔界での、そんなだらけた生活が、自分にピッタリだと思っていたが、案外働くのも悪くない。
悪魔らしからぬ思考に、自分で笑いながら、俺はバイトに集中したのだった。