悪魔と私
7
悪魔は、今日のように空を飛んだりガラスをすり抜けたり、
人間技じゃないことをやってのけるので、他の人間と同じように扱えなかったのが、ガードが緩んだ原因かもしれない。
大体、自分の部屋に家族以外を立ち入らせるなんてことはなかった。
悪魔はまず現れたときから私の部屋にいる訳で、最初からガードの中に入り込んでいるのだ。
そして、いつの間にか部屋にいることが当たり前になっていた。
私も変わったのかな。
今更になって気づく。
親密になろうとアプローチをかけてくる人間が、男女問わず嫌いだったのに、なぜか悪魔は別枠になってしまっている。
一緒に居るのを心地良いとは思わないし、今でも独り静かに居たい日もあるが、悪魔が側にいても何も気にしなくなった。
早く帰れとばかり思ってたのにな。
悪魔が、留守番できるということは、契約上の主人である私から離れても大丈夫な訳で。
バイトに出れているということは、呼び出された、私の部屋に留まらねばならないという制約もないということだ。
つまり悪魔は、私と同じ部屋で一緒に暮らす必要はないのだ。
私は望みを言う気なんか皆無なのだから、私が死ぬまでの何十年か、自由に人間界で楽しみを探して過ごした方が良いだろう。
この事に気づいたとき、私は悪魔を追い出すことが出来たはずだ。
でも今も追い出していないし、なぜかその気もない。
悪魔も、私の部屋を出ていこうとしたことはなかった。
やっぱ、変わったな私。
自己分析を終えて、バスルームを出る。
「長かったな」
「そう?」
「ま、いーや!紅茶煎れたから飲もうぜ!」
なんか、よく懐く"弟"みたいだ。
弟なんかいなかったけど。
私は、ぼんやりそんなことを思いながら、悪魔から紅茶を受けとる。
すると、悪魔はなぜか目を見開いた。
(……初めて笑ったとこ見た)
「え?なんか言った?」
紅茶を受け取るとき微笑んでいたことに、自分でも気づいていなかった私は、
悪魔が何に驚いていたのかなど、知るよしもなかったのだった。
人間技じゃないことをやってのけるので、他の人間と同じように扱えなかったのが、ガードが緩んだ原因かもしれない。
大体、自分の部屋に家族以外を立ち入らせるなんてことはなかった。
悪魔はまず現れたときから私の部屋にいる訳で、最初からガードの中に入り込んでいるのだ。
そして、いつの間にか部屋にいることが当たり前になっていた。
私も変わったのかな。
今更になって気づく。
親密になろうとアプローチをかけてくる人間が、男女問わず嫌いだったのに、なぜか悪魔は別枠になってしまっている。
一緒に居るのを心地良いとは思わないし、今でも独り静かに居たい日もあるが、悪魔が側にいても何も気にしなくなった。
早く帰れとばかり思ってたのにな。
悪魔が、留守番できるということは、契約上の主人である私から離れても大丈夫な訳で。
バイトに出れているということは、呼び出された、私の部屋に留まらねばならないという制約もないということだ。
つまり悪魔は、私と同じ部屋で一緒に暮らす必要はないのだ。
私は望みを言う気なんか皆無なのだから、私が死ぬまでの何十年か、自由に人間界で楽しみを探して過ごした方が良いだろう。
この事に気づいたとき、私は悪魔を追い出すことが出来たはずだ。
でも今も追い出していないし、なぜかその気もない。
悪魔も、私の部屋を出ていこうとしたことはなかった。
やっぱ、変わったな私。
自己分析を終えて、バスルームを出る。
「長かったな」
「そう?」
「ま、いーや!紅茶煎れたから飲もうぜ!」
なんか、よく懐く"弟"みたいだ。
弟なんかいなかったけど。
私は、ぼんやりそんなことを思いながら、悪魔から紅茶を受けとる。
すると、悪魔はなぜか目を見開いた。
(……初めて笑ったとこ見た)
「え?なんか言った?」
紅茶を受け取るとき微笑んでいたことに、自分でも気づいていなかった私は、
悪魔が何に驚いていたのかなど、知るよしもなかったのだった。