悪魔と私
2
エレベーターで食堂のある6階に降りた私達は、既に人がまばらになった食堂で適当にメニューを選んで席についた。
「便利ですよね。コレ」
三上君が、社員用に会社が発行しているクレジットカードをヒラヒラさせて言う。
基本、会社直営の食堂や売店での買い物は、このカードか専用のプリペイドカードでしか買い物ができないようになっている。
自販機でも使用できるので、小銭がいらず、使い勝手がなかなか良い。
まあでも当たり前の事ながら。
「使った分だけ、給料から天引きだけどね」
「あー。僕、入社してすぐのとき、魔法のカードみたいに使いたくって、痛い目みましたよ」
「明細見てびっくりしたんだ?」
「そうです、そうです。いつの間に、僕こんなに使ったんだ?って。自販機で、ちょこちょこ飲み物買うのって馬鹿になりませんよね」
よく喋るなあ。
笑顔でペラペラと喋る三上君を見ながら、私は味噌汁をすする。
話に適当に相槌を打ちながら、なんとなく感じる違和感に疑問を持ち、考えてみれば、
誰かと、会議以外で社食に来るのは久しぶりだった。
近頃、よく喋る悪魔との五月蝿い食事が当たり前になっているが、昼は静かに摂ることが多かったから慣れないのだ。
「松永さん。どうかしました?」
「なんでもないわよ」
「そうですか?なんか食事進んでないですけど」
「……三上君が速いだけじゃない?」
考え事をしていたとはいえ、私はいつものペースで食べている。
私は、むしろ三上君が不思議だ。
ずっと喋ってるくせに、何故、私より食べるのが速いのだ。
彼は既に、かなりボリュームのあった定食を完食していた。
「もう食べ終わったなら、先に帰ってていいよ」
遠慮する事はない。
私がそういうが、三上君は困った顔をして唸り、その後意を決したように口を開いた。
「あの、僕。話すのが楽しくて、タイミング逃しちゃってたんですけど、松永さんに聞きたいことがあったんです」
「なに?」
私が促すと、彼は気を悪くしたらすみませんと、断りをいれて話を切り出した。
「便利ですよね。コレ」
三上君が、社員用に会社が発行しているクレジットカードをヒラヒラさせて言う。
基本、会社直営の食堂や売店での買い物は、このカードか専用のプリペイドカードでしか買い物ができないようになっている。
自販機でも使用できるので、小銭がいらず、使い勝手がなかなか良い。
まあでも当たり前の事ながら。
「使った分だけ、給料から天引きだけどね」
「あー。僕、入社してすぐのとき、魔法のカードみたいに使いたくって、痛い目みましたよ」
「明細見てびっくりしたんだ?」
「そうです、そうです。いつの間に、僕こんなに使ったんだ?って。自販機で、ちょこちょこ飲み物買うのって馬鹿になりませんよね」
よく喋るなあ。
笑顔でペラペラと喋る三上君を見ながら、私は味噌汁をすする。
話に適当に相槌を打ちながら、なんとなく感じる違和感に疑問を持ち、考えてみれば、
誰かと、会議以外で社食に来るのは久しぶりだった。
近頃、よく喋る悪魔との五月蝿い食事が当たり前になっているが、昼は静かに摂ることが多かったから慣れないのだ。
「松永さん。どうかしました?」
「なんでもないわよ」
「そうですか?なんか食事進んでないですけど」
「……三上君が速いだけじゃない?」
考え事をしていたとはいえ、私はいつものペースで食べている。
私は、むしろ三上君が不思議だ。
ずっと喋ってるくせに、何故、私より食べるのが速いのだ。
彼は既に、かなりボリュームのあった定食を完食していた。
「もう食べ終わったなら、先に帰ってていいよ」
遠慮する事はない。
私がそういうが、三上君は困った顔をして唸り、その後意を決したように口を開いた。
「あの、僕。話すのが楽しくて、タイミング逃しちゃってたんですけど、松永さんに聞きたいことがあったんです」
「なに?」
私が促すと、彼は気を悪くしたらすみませんと、断りをいれて話を切り出した。